MUSUPERUHEIMU

MUSUPERUHEIMU

第74話

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2M近いその長身を黒いロングコートに身を包んだその女は
左手に下げたヤスミ7000Vの銃口を此方に向けた

 「拙いッ!?」

拙者は後ろに飛び退きながらダメージトラップを相手の銃口に投げつけた

・・・ドンッ・・・!!!

篭もった重低音の銃声と共に銃口から無数の散弾が飛び散る

・・・ボォゥン!!

投げつけたダメージトラップが破壊され爆風を起こし銃弾を遮るが
だがそれでも爆風を突破してきた弾が本来の威力を損なうも拙者を襲う

 「クッ…!?」

・・・ギギギガギィン・・・!!

装甲を激しく叩く金属音と共に拙者は後へと吹っ飛びながら右手のSSG-01の引き金を引く

 「テメェも吹き飛びやがれッス!」

・・・ボゥン!!

銃口から放たれた徹甲弾が白髪の女へと真っ直ぐに飛んでいく

・・・ヒュゥゥゥゥゥ・・・・・・ドゴォォン!!

轟音と共に命中する

・・・クンッ・・・ズサァァァァァァァァァァァァァァァァァ・・・!!

拙者は背中から地面に落ちかけた態勢からSSG-01を撃った反動で更に後転し
地面を擦るように後に流されながらも立った状態で地面に降りた

・・・シュゥゥゥゥゥゥ・・・

徹甲弾を喰らった女は被弾箇所から煙を上げながらも直立していた

 「…その忌々しい防弾コート…テメェマジでホンモノのようっスね…」

煙が収まった被弾箇所には傷一つ無かった

・・・ジャキ・・・

女は再びヤスミ7000Vの銃口を此方に向ける

 「チッ…!」

拙者は相手の攻撃範囲から逃れようとしつつ左手のオートマグを連射する

・・・ガゴォン!ガゴォン!ガゴォン!!

オートマグの弾丸はコートに覆われていない頭を襲う

・・・バシュウ!

 「!?」

避けるか防ぐかと思ったオートマグの弾丸を女は顔面にまともに喰らったが

・・・ドンッ・・・!!!

そのままヤスミノコフ7000Vの引き金は引かれた

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・・・ザシュ・・・!

真紅のフォトンクローが異形を斬り裂き紫色の泡へと変える

 「…何この状況…?」

そう言ってスゥは辺りを見渡すと異形の体液で紫色に染まっていた

 「辺りの景色が歪んだ途端あの研究所と同じ異形が出てくるなんて
  …もしかして原因を突き止めろって事?他の連中とも連絡つかないってのに…面倒ね…」

スゥは憂鬱そうな顔でブツブツと文句を口にしながら

 「言ってても仕方ないか…ホラ行くよ」

部下である黒服の男に声をかける

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 「…聞いてる?」

 「・・・あ?・・・ああ・・・姐さん・・・どう・・・しました・・・?」

 「…ちょっと平気?しっかりしなさいよ」

反応が鈍い男にスゥは少し怒気を込めて注意するが

 「・・・ええ・・・大・・・夫・・・スよ・・・・・・え?・・・うぁぁ!うぁぁ!うぁぁぁぁぁぁ!!」

次の瞬間、男は突然、気が触れた様に叫び始め

・・・ブン・・・!

手に持っていたフォトンライフルをスゥに向かって棍棒の様に振り下ろした

 「ッ!?」

・・・ガギィィィィィン!!

力任せに振り下ろされたライフルが地面に叩きつけられる

・・・トッ・・・

その一撃を避けつつスゥは男から十分に間合を離した

 「…何のつもり…?」

 「あああぁぁぁ!!・・・うあぁぁぁ!うあぁぁぁぁ!うあぁぁぁぁ!!」

・・・ブン!ブン!・・・ブン!

男はスゥの問いにも応えず奇声を上げながら間合も考えずに我武者羅にライフルを振り回すだけ

・・・ガギィンッ!!

振り回すうちに再びライフルが地面を激しく叩き

・・・バキッ!・・・バチ・・・バチバチ

壊れたのかひしゃげたライフルが軽い火花を起こしショートする

 「…どうやらこの瘴気に中てられたようね」

・・・ブン!

出鱈目に振り回してたライフルは再びスゥの身体を捉えた

・・・キィン!

だがスゥは逆に迫るライフルを真紅のフォトンクローで斬り裂くと

・・・トンッ・・・

男の膝に足を乗せ

 「気を失えば錯乱もできないでしょ」

・・・ゴッ!!

 「がっ・・・!?」

男のこめかみの辺りに膝蹴りを炸裂させる

・・・ドサッ・・・!

 「やれやれ根性の無い事」

脳震盪を起こし男は気を失い地面に倒れこむ

・・・ボワンボワンボワンボワン・・・

だがまるでそれが合図だったように突然辺りに複数の気配が出現した

 「戦力が低下したトコを狙ってきてるだとしたら随分と賢しいわね」

スゥの周りを両腕が刃状の不細工な人型異形が取り囲む
その異形達は全て同じ様な姿をしていたが部分的な色とサイズが違ったのが混ざっていた

 「さっきまでは緑色のみだけだったけど…紫と黄色…順にサイズが上がってる
  …もしかしてこの異形達の色と強さ…フォトンと同じ…?」

・・・ブォン・・・!

緑色の異形の一匹が刃の腕でスゥを攻撃してくる

・・・ザシュ!

スゥはその攻撃を掻い潜りすれ違い様に真紅のフォトンクローで斬り付け
そしてそのまま足を緩めず次の異形へと斬りかかる

・・・ザシュ!ザシュ!ザシュゥ!!

紫色の異形を連続で攻撃する

 「見かけどおり緑より紫の方が耐久力があるみたいだし…まどろっこしいわね」

スゥはそう言うと瞳を閉じ精神を集中させた

 「雷陣!!」

・・・ビシャァァァー!!!


スゥが右手振るうように突き出すとラゾンデのテクニックが発動し
広範囲の雷撃が異形達を撃ち一瞬ではあるが動きを止める

・・・ジャキン!

スゥが左腕を強く振ると右腕と対のような真紅のフォトンクローが現れる

 「クリムゾンペイン!!」

そう叫んだ次の瞬間スゥの姿が消えたかと思うと

・・・キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!!

周囲の異形達にいくつもの真紅の光の軌跡が走り

・・・ザシュ!ザシュ!ザシュ!ザシュ!ザシュ!ザシュ!ザシュ!ザシュ!ザシュ!!

・・・ブシュゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・!!


全て異形の身体から紫色の体液が噴出した

・・・トンッ・・・

そして再び同じ場所にスゥが姿を現すがその時…

・・・シュゥゥー・・・

地面に倒れていた男の体が蒸気のようなモノに包まれて消え

・・・ボォゥン・・・!

代わりに其処に現れたのは長く強大な腕を下げた異形の巨人

・・・ブォン・・・!

 「…!…」

そしてその巨大な両腕が無防備なスゥを押し潰そうと迫るが

・・・ザッ・・・

その間に一つの影が割り込み

・・・バギィィ!!

二又の大剣が巨人を一刀両断する

・・・グォォォォン・・・!!

断末魔を上げ巨人は煙のように消えていった

 「…平気か…?」

大剣の持ち主がスゥにそう声をかけると

 「あ、うん……ありがと」

スゥは声をかけてきた相手に驚きながらも少し嬉しそうにそう答えた


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